開幕
2024年11月22日
「…ぎ、ねえ。まぎさん。起きて。まーーーぎさん?起きてったら!まぎ、ねえ!」
呼び声に意識が浮上する。
ミント色の髪が視界に映り込む。
「やっと起きた。まぎ、仕事だよ。」
「…そうか。ありがとう。」
体を起こして歩き出す。
「珍しいね、まぎが睡眠とるなんて。」
「まあ、今日は。睡眠が必要だった。それだけ」
遠い過去に思いを馳せ瞳を閉じる。
「ふ〜ん?教えてくれないんだ?」
少し不満そうな顔だ。
「それで、冥。起こさないといけないほどの仕事があるんだろ。」
「あ、話そらした。まあ言いたくないならいいけど。」
「早く」
「はいはい。お察しの通り、我らが上司地獄様から寵愛の彼の方周りの話があるって。」
「ああ、あの奥方。」
「なんか、様子がおかしかったから覚悟いるかもね。」
「いらないけど」
「ああはいはい、感情ない方は恐怖がなくていいですね!」
ないわけじゃあないけど。と心のなかで一人ごちる。
「ほら。行くよ」
「え、一緒でいいの?」
「いい。」
「やった〜!いきます!」
何事もないただ繰り返しの日々の1篇。
それがこの日を境に崩れ落ちた。